理事長の独り言 12

福山JC 2009年度理事長メルマガ 大島衣恵

 「分け入っても分け入っても青い山」とはこの事?という風景を見ながら、ASPAC長野大会へ行ってまいりました。瀬戸内海に面したまちに住む身には、山また山の景色が新鮮に思えます。
 能「山姥」という曲があります。京都で大人気の遊女(今で言うアイドルです)が、両親の追善供養のため信濃の善光寺へ詣でる途中、山中で超人間的存在の「山姥」に出会う、というストーリーです。善光寺までの道のりが二通りあり、遊女はより険しい「上路越え」という道を選びます。乗り物もなく徒歩で、京都からこの深い山を越えて詣でるのですから、どんなに過酷だったことでしょう。電車で名古屋から3時間が遠いな、と思ってしまう現代人の私には、想像もつかないことです。
 また道中「木曽」という駅があり、木曽義仲や巴御前のことに思いを馳せました。まさに深山の里という趣で、ここから都を目指し日本全国を制覇しようとした義仲の気概。そんな義仲に命をかけて最期まで付き従った巴御前の情熱を思い、しばらく能のワキの気持ちで電車に揺られていました。
 そんな能との係わりもあって、いつかは参りたいと思っていた善光寺へASPACの機会を頂いて行くことが出来ました。長野市内を一望できる悠然とした山門の迫力、煙の染み込んだ大香炉、賑わいを見せる門前の参道、そして飛鳥時代から数知れない人々の祈りを受け止めてきたご本尊(見えませんが)。古の人々との出会いを心に感じた参詣でした。
 今回は韓国浦項青年会議所との交流事業もあり、アジア地区の様々な国のメンバーとの出会いもあり、国際の輪を広げることの出来た楽しい大会でした。それにも増して嬉しかったのは、長野で福山のメンバーを出迎えたとき。福山を離れた地で仲間と共にあることが、こんなにも心強いものかと思いました。普段は当たり前のように思いがちな仲間の有難さを一入感じることの出来た、思い出深い長野への旅となりました。