理事長の独り言 18

福山JC 2009年度理事長メルマガ 大島衣恵

 彼岸花が目に鮮やかな季節になりました。月日の経つのは本当に早いものです。仕事や諸行事に追われるばかりでなく、心のゆとりを持って実り豊かな秋を過ごしたいものですね。
 さて、皆さんはご自分の「声」について、考えてみたことがおありでしょうか?私は職業柄、舞台上での声には最大限気を使っているのですが、それでも普段の話す声、挨拶のときの発声はついおろそかにしがちです。どうも早口になってしまう傾向があるので注意はしているつもりなのですが、お聞き苦しいことも多々あるのではないかと反省です。
 普段から腹式呼吸の深い息を意識して、ゆっくり、はっきりと話すことが出来れば、聞いている人の心に響く説得力のある話しができるはずです。実際はなかなか難しいことですが・・・。ぜひ身の回りの方の話し振りに注目してみて下さい。決して大きな声ではないけれど、しっかりと伝わってくる声の人っていると思いませんか?そんな人達の発声と息づかい、そして姿勢には共通点があるはずです。
 日本人の声と息が年々ひ弱になっているのではないか、という指摘をされている方がいらっしゃいます。声が弱くなっているということは、身体そのものの弱体化、そして精神力の低下に直結するとして良くない傾向だというのです。息は「自の心」。人間にとって最も大切なことですよね。
 実は、日本語の発音はあまり顎を使わなくて良いように出来ているため、他の言語に比べて呼吸が浅くなりやすいのです。そこへきて現代の楽な生活様式が、日本人の声と息を弱くしているとのこと。反対に欧米の言語は息をしっかり使い、口を大きく開け閉めしなければ発音できないようになっています。自然と顔の表情も豊かになり、呼吸も深くなるわけですね。
 かといって、欧米の真似をするのが良いとは思いません。日本語には日本語の持つ美しい響きがあり、感情表現も一旦は腹に収めてから外に表す、という独自の表現方法を持っているのです。だからこそ今「OMOIYARI」の精神が世界で(JCIでも)注目され、日本の良さが見直されているのだと思うのです。
 外に向かう派手さは少なくても、じっくりと腹を据えて物事に取り組む姿勢が、日本人の最大の良さなのではないか。だとすれば、その姿勢を私たち自身がもう一度見直し、しっかりと身につける必要があるのではないでしょうか。